公開日:2026年3月26日
執筆:株式会社エルウィット 編集部
この記事には自社サービスの案内を含みます。
外壁塗装の市場は一定の需要がある一方で、原価高騰、人手不足、相見積もりの常態化によって、売上は伸びても利益が残りにくい状況が続いています。特に地域密着の塗装店では、受注件数を追うほど人工や塗料の管理が甘くなり、気づいたときには粗利率が下がっているケースも少なくありません。大切なのは、売上だけで経営を判断しないことです。この記事では、塗装店の粗利率が下がる本当の原因を整理したうえで、利益率を高めながら利益を最大化する具体策を、現場目線と経営目線の両方から解説します。
なぜ今の塗装店にとって「粗利率」の改善が最優先事項なのか
塗装店の経営でまず見るべき数字は、売上総額ではなく粗利率です。なぜなら、同じ1,000万円の売上でも、粗利率が30%の塗装店と40%の塗装店では、手元に残る利益が100万円単位で変わるからです。元請け比率が低い会社や、紹介・一括見積もりサイトへの依存が高い会社ほど、見かけ上の売上は作れても、利益率は安定しにくくなります。
株式会社エルウィットが現場感を持って見ると、粗利率が低い塗装店には共通点があります。集客、見積、現場管理、原価管理が分断されており、営業は受注を優先し、現場は工期を守ることに追われ、経営者は月末の資金繰りで初めて異変に気づく、という流れです。つまり問題は、単に単価が低いことではなく、利益を残す仕組みが設計されていないことにあります。
粗利率を改善できれば、値引きに振り回されにくくなり、職人への適正な還元もしやすくなります。さらに、広告費やホームページ改善費に再投資できるため、安売りではなく価値訴求で選ばれる塗装店へ近づけます。経営を安定させたいなら、売上拡大の前に、まず粗利率を立て直すべきです。
売上はあっても手元にお金が残らない塗装店の共通点
「今月はよく動いたのに、思ったより利益が残っていない」。この悩みを抱える塗装店は少なくありません。原因の多くは、案件ごとの原価が見えていないことです。材料の発注単位が曖昧で、塗料のロスが積み上がり、人工も予定より増え、しかも追加対応を無償で引き受けてしまう。この状態では、売上が増えるほど粗利率が落ちる可能性があります。
受注単価が一見十分に見える案件でも、塗料・副資材・足場・人工の実行予算を甘く見ていれば、最終的な利益率は想定を大きく下回ります。特に、職人の手配をその都度調整している塗装店や、現場ごとの標準人工を持っていない会社では、工事が1日ずれただけで利益が削られます。経営者の感覚としては「忙しいのに儲からない」ですが、数字で見ると、単価設定と原価管理の両方に改善余地があるケースが大半です。
また、集客経路によっても利益の残り方は変わります。ポータルサイトや価格比較に依存すると、相見積もりに巻き込まれやすく、単価を守りにくくなります。その結果、受注できても利益が薄く、次の投資原資も生まれません。売上があるのに資金が残らない塗装店ほど、案件数ではなく、案件ごとの粗利率を見直す必要があります。
塗装業における理想的な粗利率の目安とは
塗装業で目指すべき粗利率は、事業モデルによって多少異なりますが、一般的には35%前後を一つの基準として考える塗装店が多いです。もちろん、完全自社施工なのか、下請け活用が多いのか、屋根や防水まで扱うのかによって利益率の目安は変わります。ただし重要なのは、単発で高い利益が出た現場を見ることではなく、月単位・四半期単位で粗利率が安定しているかを確認することです。
理想の粗利率を考える際は、単純な売上原価だけでなく、その先に必要な販管費も意識しなければなりません。粗利率が30%を切る状態では、広告費、採用費、車両費、事務コストを差し引いたあとに十分な利益が残りにくくなります。逆に、適正な単価設定と人工管理ができている塗装店は、利益率に余裕があるため、職人育成やWeb集客にも投資しやすくなります。
ここで大切なのは、理想の数字を知るだけで終わらないことです。自社の現状の粗利率を、工事種別、営業担当、集客経路ごとに分解して見ることで、どこで利益が削られているかが明確になります。エルウィットは、単にホームページを作る会社ではなく、こうした数字の見え方まで含めて伴走できる点に強みがあります。集客と経営は分けて考えるものではなく、粗利率の改善までつながって初めて意味があります。
塗装店の粗利率を低下させる3つの主な原因
粗利率が伸びない理由は、単に安く売っているからとは限りません。実際の現場では、見積段階では利益が出る想定でも、着工後に人工が増え、材料が余り、追加対応が積み重なり、最終的に利益率が崩れるケースが多く見られます。特に地域密着の施工店や外壁塗装屋では、経営者自身が営業、現場確認、職人手配、集金まで抱えていることも多く、数字の管理が後回しになりがちです。その結果、利益は出ているつもりでも、実際には現場ごとの採算差が大きく、会社全体の利益率を押し下げています。
ここで重要なのは、粗利率の低下を「忙しいから仕方ない」で片づけないことです。塗装業は、塗料の選定、施工日数、人工配置、単価設定の4つが少しずれるだけで、利益の質が大きく変わります。つまり、現場の稼ぎを左右する要因はかなり明確です。原因を構造的に把握できれば、粗利率は十分に改善できます。
材料費(塗料)と人工(人件費)のコントロール不足
最も多い原因は、塗料と人工の管理が感覚に頼っていることです。見積時には標準的な数量で計算していても、実際の現場では下塗りの吸い込みが強く、想定より塗料を使うことがあります。さらに、養生のやり直し、雨天延期、職人の入れ替えなどが起きると、人工も膨らみます。こうしたズレが積み重なると、1現場あたりの利益率は簡単に落ちます。
例えば、ある塗装店では、外壁と屋根の塗り替えを120万円で受注していました。見積上は十分な利益が出る想定でしたが、実際には追加の下地補修が増え、塗料も多めに使用し、予定より人工が2日分増加しました。結果として、受注時には35%を見込んでいた粗利率が、完工後には28%台まで低下しました。現場は成功したように見えても、数字で見ると利益の質は大きく下がっていたのです。
ここで問題なのは、単に原価が上がったことではありません。どんぶり勘定のまま現場が進み、何が利益率を下げたのかを特定できないことです。余った塗料を次の現場に回せるか確認しないまま廃棄してしまう、朝の資材積み込みが曖昧で不足品を取りに戻る、職人の移動時間を人工に織り込まず現場間の行き来でロスが出る、といった細かな非効率が積み重なると、利益は静かに削られていきます。経営者から見ると「忙しいのに残らない」という結果になりますが、現場レベルでは小さな管理不足の集合体です。
逆に、利益率が高い自社は、着工前に実行予算を細かく組みます。塗料はメーカー推奨数量だけでなく、劣化状況ごとの上振れ幅まで見込み、人工は職人の経験値別に日当換算ではなく工程単位で設定します。たとえば高圧洗浄、下地補修、養生、下塗り、中塗り、上塗り、付帯部、検査、是正という形で工程ごとに人工を配分すると、どこで予定を超えたかが把握しやすくなります。これができる会社ほど、利益率が安定します。
人工を削減するには、単に人数を減らすのではなく、現場スケジュールの精度を上げることが大切です。具体的には、前日夕方の時点で翌日の作業内容、必要な塗料、搬入物、応援の有無を確定し、朝礼で再確認する体制をつくることです。また、雨天時の代替現場候補を常に1件持っておくと、急な延期でも人工の空転を防げます。さらに、写真報告を午前・午後・完工前の3回で統一すると、戻り作業が減り、余計な人工を抑えやすくなります。現場効率を上げる会社は、このような細かな運用を標準化しています。
相見積もりによる過度な値引きと単価の下落
粗利率を崩す2つ目の原因は、相見積もりに巻き込まれた結果、単価を守れなくなることです。塗装店の多くは、問い合わせが来ると「まずは見積を出さないと始まらない」と考えます。しかし、価格比較サイトや一括見積もり経由の反響では、最初から比較前提の商談になりやすく、価値ではなく金額だけで判断されやすい傾向があります。この土俵に乗り続けると、利益率の高い会社にはなれません。
失敗パターンとしてよくあるのが、初回提示額で反応が薄いと感じた段階で、根拠のない値引きをしてしまうケースです。たとえば本来は適正単価で受注すれば十分な利益が残る案件でも、「あと5万円下げれば決まる」と考えて下げてしまう。ところが、実際には競合他社との違いが伝わっていないだけで、値引きしても失注することがあります。この場合、単価だけを下げて利益を削り、しかも受注もできない最悪の流れになります。
ここで経営者が理解すべきなのは、価格競争を避けるべき理由です。価格でしか比較されない商談では、受注できても利益率が細り、次の採用、教育、広告投資に回せるお金が残りません。さらに、値引きが習慣化すると、営業担当も現場も「この会社は最終的に下げる」という前提で動き始め、単価を守る文化そのものが崩れていきます。塗装店の経営は、1件の受注で終わるものではなく、継続的に利益を積み上げられる体質をつくることが重要です。
実際には、価格で負けているのではなく、比較の基準を自社で作れていないケースが少なくありません。現地調査で何を見たのか、どの塗料をなぜ選んだのか、どの工程が仕上がりや耐久性に関わるのか、近隣対応や保証をどう考えているのか。こうした情報が整理されていないと、お客様は総額しか比較できません。具体的な価値訴求の手順は、後述する自社集客と提案設計の章で解説します。
現場管理の不備による工期の長期化
3つ目の原因は、現場管理の不備によって工期が延び、想定外の人工が発生することです。これは小さな会社ほど起こりやすく、経営者が複数現場を兼任で回している場合に特に顕著です。1日で終わるはずの工程が翌日にずれ込み、次の現場の開始日が後ろにずれ、全体の人工計画が崩れる。この連鎖が続くと、売上は作れても利益率はどんどん削られます。
失敗エピソードとして多いのは、着工前の段取り不足です。足場日、洗浄日、乾燥日、塗装日、検査日が曖昧なまま進行すると、塗料の搬入タイミングが合わず、職人が手待ちになります。さらに、屋根と外壁を同時進行で回す際に責任者の確認が遅れると、手戻りが発生し、余分な人工が積み上がります。こうした現場では、案件単体の利益はもちろん、月次の利益率まで崩れます。
改善策は、工期の見える化です。ホワイトボードでもクラウドでもよいので、全現場の進捗を「予定」「実績」「遅延理由」で並べ、毎日更新する習慣を作ることが重要です。さらに、各現場で1日あたり何人工を使ったかを記録し、見積時の想定人工との差分を必ず確認します。利益率が高い会社は、完工後の振り返りで「なぜ利益が出たか」「なぜ利益が削られたか」を人工ベースで話せます。この差が、そのまま翌月以降の粗利率の差になります。
粗利率を劇的に向上させるための具体的改善方法
粗利率を上げるには、値上げだけに頼るべきではありません。むしろ、現場運営、見積の出し方、集客の質、職人配置の見直しを組み合わせることで、無理なく利益率を高めることができます。塗装店の経営改善は、ひとつの特効薬で解決するものではなく、複数の小さな改善を仕組みに変えることで進みます。エルウィットは、この仕組み化を現場目線で伴走できる点に強みがあります。
実行予算の徹底管理と、仕入れ単価の見直し
まず着手すべきは、実行予算の精度を上げることです。利益率が高い会社は、見積書と実行予算を別物として扱っています。見積ではお客様への提案価値を整理し、実行予算では自社がどう利益を残すかを設計します。ここが曖昧な会社は、受注後に現場任せになり、粗利率が安定しません。
具体的には、工事ごとに「塗料」「副資材」「外注費」「人工」「予備費」を分けて管理し、予備費を最初から数%確保しておくことです。これにより、追加対応が発生しても利益率の急落を防ぎやすくなります。また、塗料の仕入れは慣例で決めず、月間使用量をもとに価格交渉するだけでも単価改善につながります。1缶あたりの差は小さく見えても、年間では大きな利益差になります。
成功している外壁塗装屋では、毎月の仕入れ先比較だけでなく、塗料ごとの採用基準を明確にしています。高耐久が必要な案件、コストバランス重視の案件、付帯部中心の案件など、用途ごとに標準仕様を決めておくことで、現場ごとの判断ブレが減り、利益率も安定します。単価交渉は仕入れ担当だけの仕事ではなく、会社全体の利益を守る経営施策です。
自社集客(Web活用)による相見積もり脱却と「価値訴求」
粗利率を上げたいなら、集客の質も見直す必要があります。価格比較に依存した集客では、受注しても利益が薄くなりやすく、長期的には疲弊します。一方、自社サイトや施工事例、地域での発信を通じて問い合わせを獲得できるようになると、比較の土俵が変わります。これは単なるWeb集客ではなく、利益率を守るための経営戦略です。
第4章で触れた通り、価格競争を避けるには「価格以外の比較軸」を自社で設計する必要があります。そこで有効なのが、エルウィット流の価値訴求4ステップです。
- ステップ1:施工前の不安を言語化する
お客様が不安に感じているのは、費用だけではありません。塗膜の持ち、手抜きの有無、近隣対応、工事中の生活負担など、見えない不安を先回りして言葉にすることで信頼の土台ができます。 - ステップ2:現地調査の内容を写真とともに可視化する
ひび割れ、チョーキング、シーリングの劣化、屋根の傷みなどを写真付きで説明し、なぜその補修や塗料が必要なのかを共有します。これにより、提案の根拠が金額以外の比較軸になります。 - ステップ3:見積で工程・使用塗料・保証の違いを明確にする
単価だけを見せるのではなく、工程数、下塗り材の考え方、付帯部の扱い、保証範囲まで整理して見せることで、価格だけでは測れない価値が伝わります。 - ステップ4:完工後の安心まで含めて提案する
工事が終わったあとに何を残せるかまで説明することで、単発の価格比較から、長く付き合える会社選びへと判断基準を変えられます。
成功エピソードとして、相見積もりで毎回価格競争になっていた自社が、施工事例ページと見積時資料を見直したことで、値引き幅を抑えながら受注率を改善した例があります。以前は単価を下げないと決まらなかった案件でも、施工中の写真、保証説明、近隣配慮の流れまで事前に見せることで、価格以外の比較軸を作れました。このように、自社集客は反響を増やすだけでなく、現場の稼ぎを守る意味でも重要です。
職人の多能工化と現場効率のアップ
最後に効くのが、多能工化による人工最適化です。塗装業では、職人ごとの得意不得意が分かれやすく、特定の担当に仕事が偏ると現場全体が止まりやすくなります。そこで、養生、下地補修、付帯部、簡易な屋根塗装などを一定レベルで複数人が対応できるようにしておくと、人工配置の自由度が高まります。結果として、余計な応援手配や空き時間が減り、利益率も安定します。
ここで注意したいのは、単に何でもやらせることではありません。工程ごとの標準時間を決め、どの作業を誰が担当すれば最も効率が良いかを見える化することが重要です。たとえば、経験の浅い職人には準備と養生を任せ、熟練者は仕上がりに直結する工程に集中させる。この配置だけでも人工の使い方は大きく変わります。利益率が高い会社は、職人教育を人材育成としてだけでなく、経営数字を改善する施策として捉えています。
また、完工後に「予定人工」「実績人工」「原因」を振り返る会議を短時間でも継続すると、現場ごとの改善速度が上がります。今日は何人工余計にかかったのか、なぜその差が出たのか、次回どう防ぐのか。この繰り返しが、塗装店の粗利率を底上げします。数字と現場をつなげて考える会社こそ、未来の利益を残せます。
まとめ:粗利率の改善こそが塗装店の未来を創る
塗装店の経営を安定させるには、売上拡大だけでは不十分です。大切なのは、1件ごとの現場でどれだけ利益を残せるか、そしてその利益率を継続的に高められるかです。塗料の管理、人工の最適化、単価を守る提案、現場管理の標準化、自社集客による価値訴求。これらはすべて、粗利率を改善し、会社の未来をつくるためにつながっています。
今の時代、忙しいだけの経営では会社は強くなりません。利益が残る仕組みを持つ塗装店だけが、人材育成にも設備投資にも広告投資にも踏み出せます。株式会社エルウィットは、ホームページ制作だけでなく、現場と経営の両方を理解した伴走型の支援で、塗装店が適正な利益率を確保しながら成長するための土台づくりを支援します。粗利率を改善することは、単なる数字合わせではなく、自社の価値を正しく利益に変えることです。ここを変えれば、経営は確実に変わります。